前回記事(「あなたの組織の理念や基本方針を、あなたは語れますか?」)の続きです。
医療機関や介護施設で掲げる理念や基本方針は、どのように見直しをしていったらいいのでしょうか。
医療機関や介護施設では、提供するサービスの根本価値は、何らなの疾患を有する人に対して治療を提供する、QOLを維持・向上させることであったりしますが、他施設や他法人との違いが表現しづらいと感じることはありませんか?
例えば、「私たちの組織は、地域住民のQOL維持・向上を目指すために存在している」という理念だったとしましょう。でも、これは同じ地域に存在する近隣医療機関でも同じことが言えてしまうかも分かりませんね。
同じことが言えるということは、極論を言えば、今の組織でなく、近隣の施設で働いても同じということです。だから、人材定着を競って、給与や福利厚生がちょっとでも良くしようというアピールポイント作りに必死にならざるを得ないという訳です。
もちろん、勤務環境や雇用条件も職員にとっては大切なことですが、もっと大切なことは、その職場が働きやすいかであり、自分が自分らしくいれる職場なのかということです。
理念や基本方針は、抽象的であるがゆえに、明文化することが難しいです。
まずは、経営者もしくは経営陣が、何を大切にして事業を営んでいるのかをじっくり再考することをお勧めします。
理念は、組織にとって『私たちは何のために存在するのか』という根本的な部分を表すものです。したがって、再考する際には、私たちは「誰に」「どんな価値を与えて」「その結果、どのようになってほしいのか」さらに言うと「どんな社会づくりに貢献していきたいか」という要素について考えていくことです。
基本方針は、『理念を実現するための組織の基本姿勢や大切にしている考え方』を示すものです。ここではステークホルダーを意識して再考することをお勧めします。
ステークホルダーとは、自組織との関係者のことを言います。代表的なもので言うと「顧客(患者・利用者・家族)」「協力機関(連携先・業務委託先)」「従業員」「社会(地域・行政)」といったものが挙げられます。このステークホルダーから信頼される組織になるためには、どんな姿勢や考え方が大切なのかということを明確にしていくことです。
以前は、理念や基本方針を再考するのは経営者(オーナー)の役割であるという認識が強くありました。しかし、昨今では、経営者が経営幹部や次世代を担うスタッフと共にオープンダイアログのような形式で双方向での対話を行いながら、組織として再考するというケースも増えています。
まさに、『経営者の考えた理念・基本方針を組織に共有する』という一方向なアクションではなく、『共有された理念・基本方針を持つ』という双方向なアクションになります。
そうすることで、職員は自組織に「誇り」や「希望」さらには「愛着」や「思い入れ」を感じることができ、エンゲージメント(組織と職員の繋がり)が高まることになります。
是非、理念や基本方針の再考に取り組まれてはいかがでしょうか?
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