「優秀な事務スタッフをどのように育てていけばよいのか?」
これは、私が経営コンサルタントとして働いている中で、経営者から多く頂く質問のひとつです。
皆さんの組織でも、同様の悩みを感じている方も少なくないのではと思います。
今回は、“優秀な事務スタッフを育成するためには”というテーマにしたいと思います。
まずは、“優秀な事務スタッフとは、どんな人材なのか?”をクリアにすることが必要です。
事務職が担当する仕事は、総務・経理・人事・医事など、非常に多岐に渡ります。それらの仕事が、きっちりと行える人材が優秀な事務職なのでしょうか?
おそらく、経営者や経営幹部が求めている“優秀な事務スタッフ”とは『問題解決力が高い』とか『企画力がある』とか『部署間や上司部下間、他法人との調整が上手い』といったスキルを存分に発揮し、経営参謀として活躍できる(もしくは活躍している)人材を想像するのではないでしょうか?
では、“問題解決能力”や“企画力”、“調整力”を高めるために、どんな教育を行う必要があるでしょか?
“問題解決能力”を高めるには、やはり現場での経験(OJT)に勝るものはないのでしょうか。施設内で展開される改善活動に参加させることで、問題となっている事象の根本原因を抽出し、改善策を考え、様々な関係者に協力を依頼しながら改善策の実施を進め、その結果をモニタリングして、必要があれば、新たな改善策を講じていく…。このような活動に参画させ、経験値を高めながら能力向上を図ることが大切でしょう。
“企画力”や“調整力”の向上についても同じようなことが言えると思います。
ここで改めて考えたいことは、研修や勉強会に代表される“Off-JTの位置づけ”です。
事務職の育成を考えた際に、何かの知識をインプットする研修やセミナー、勉強会を盛り込んだ教育体系を構築したいと考えることは珍しくないですが、いくら知識をインプットしても、それをアウトプットする場がなければ、本当の意味で身についたとは言えないでしょう。
皆さんに考えてほしいのは、アウトプットする場があるから、インプットの必要性が高くなるということです。
例えば、『テストがあるから勉強する』といったことであったり、『発表会があるから練習する』といったように、何か必要に迫られる機会があるから、何かを学ぼうとするという作用は働きやすいということです。これがOff-JTの位置づけです。
皆さんの組織におけるOff-JTの位置づけは、どのようになっているでしょうか?
この部分が整理されていないと、いくら研修や勉強会を受講させても、本人は、その必要性に気づかず、研修や勉強会で有益な話を聞いても、本人の記憶には残らないでしょう。
では、皆様の職場において、事務スタッフを育成するために、本人の能力をアウトプットする場は、どれぐらいあるでしょうか?
ルーティーンワークを黙々と取り組む場や時間が多くなっていないでしょうか?
私が考えるに、優秀な事務スタッフを教育・育成する際のキーワードは『思考させる』です。
「どうすればよいのか?」「何が大切なのか?」「どんなアプローチが良いのか?」といったことを常日頃から思考することが求められるような職場環境を作っていくということです。
そして、本人が思考した結果を、言葉や資料でアウトプットさせて、フィードバックをしてあげる。もちろん、良い内容であれば、すぐに実行するように誘導してあげる。
このような環境が必要であると考えます。
つまり、「優秀な事務スタッフが育たない」のではなく「優秀な事務スタッフを育てていない」と、経営幹部自身が考えを改めて取り組むことが最善であると考えます。
現在、コロナ禍において、Off-JTの機会や回数、実施方法も大きく変化しています。
だからと言って、焦ることなく、今一度立ち止まってみて、自組織の教育・育成の在り方、目指す方向性、それを実現する計画を再考してみてはいかがでしょうか?
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