組織改革は組織図の見直しから始めよう

  • 組織図は、その組織が目的を達成するための体系を表したもの
  • 組織図では“分業”と“権限”が表現される
  • 最適な組織図を作り、運用していくことが組織改革への第一歩

皆さんが現在働かれている法人・施設に組織図はありますか?

「私の法人・施設には組織図がない」ということはほとんどないと思います。多くの法人・施設で組織図は作成されていると思いますが、今回はその“組織図”についてお話をしたいと思います。

実は、組織改革や人事改革などを進める場合に、この組織図というのは非常に重要なものになります。

なぜか?

それは『目的達成に向けて組織を動かしていく体系=組織図』だからです。

組織図を理解するうえで必要な視点は“分業”と“権限”です。

まずは“分業”についてです。

例えば、サッカーにフォーメーションがあるように、野球にポジションがあるように、組織には、そこに所属する各々に役割があります。例えば、サッカーでフォワードというポジションの選手は手を使ってゴールを守ることはしません。野球でも、キャッチャーは外野に飛んだボールを取りにはいきません。

これが役割ですが、組織論っぽく言うと“分業システム”と言えます。このように組織は、みんなが同じ仕事をするのではなく、それぞれに役割を決めて“分業”をします。

次に“権限”ですが、サッカーも野球でも、その場その場で最適な結果を出すためにプレー中に誰かが指示を出します。例えば、野球であればピッチャーに「次は、この球種をここに投げてほしい」とキャッチャーがサインを出します。(ピッチャーや他の選手・コーチ・監督がサインを出すこともありますが…)

これは、組織論っぽく表現すると“権限”です。選手や監督・コーチがそれぞれ好き勝手な指示を出しているとチームとしてのプレーはめちゃくちゃになります。だから、指示を出す人を決めて、誰の指示に従うのかを明確にしたうえで勝利という結果に向かって試合を進めます。

組織においても同様に、目的達成に向けて何をどのようにするのかといった具体のアクションを指示する人がいないと、皆がそれぞれ好き勝手なことをやっていたら組織の目的達成はできません。これが“権限”を与える(持つ)ということです。

このように、組織の目的達成に向けて“分業”と“権限”を決め、それを体系的に示したものが組織図です。人間の体でいうと『骨格』です。

では、改めて聞きます。皆さんが今働いている法人・施設の組織図は、“分業”と“権限”を示した組織図になっていますか?

少し見方を変えれば、組織図に基づいた経営(運営)になっているかどうかが大切です。

医療機関の場合、組織図は『診療部』『看護部』『医療技術部』『事務部』というように専門職種群を単位として組織図が作成されることが一般的かと思います。それは専門資格(ライセンス)によって仕事内容が異なるからです。先ほど説明した“分業”を保有する専門資格で表現するということですね。

よく問題になるのは“権限”です。

先ほど、組織図は目的達成に向けて組織を動かしていく体系図と説明しました。では、“動かしていく”とはどういうことでしょうか?

具体的には“指示をする”ということと“管理をする”という2点が、組織を動かしていくポイントになります。

組織図において上位に表現される人たち(理事長や院長、部長、課長、師長、ユニット長などの役職者)は、下位に表現される人たちに対して、指示をしたり管理をしたりして組織を動かしていきます。

しかし、ここが正しく作用しないこともあります。例えば、「医療技術部の部長は診療放射線技師のAさんだが、そのAさんは放射線課以外の臨床検査課や薬剤課、リハビリテーション課の運営には関わろうとしない」ということであったり、「健診センターのセンター長は事務長が兼務しているが、看護部長が健診センターの看護師を勝手に異動させる」というように組織図が正しく作用しないケースはよくあることです。

本来であれば、医療技術部長として下部にある課・チームの運営について指示をしたり管理したりして関わり合いを持たないといけませんし、健診センターのセンター長として看護部長と協議をして陣容を決めないといけません。

そういった問題を整理するために、組織図をベースとした運営体制の見直しを行うことが必要となります。

もちろん、必要に応じて組織図は柔軟に見直し、その時その時の組織戦略に基づき、最適な組織図を構築することが大切です。

良い組織を作るためには、その組織の骨格を表す組織図を持ち、その組織図に基づいて、組織運営を進めていくことが重要です。

組織改革や人事改革に取り組まれる方は、是非、“組織図を見直す”というアクションを改革の第一歩としてみてはいかがでしょうか?

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